小石川の養生所に、どこからかふらりと現れ、どこかにふらりと消えていく、遊び人風の町侍。躰は筋肉質で、太い眉と切れ長の眼を持ち、いい男である。だが、絹で丁寧に織られた羽織を裏返すと、背中には大きな葵の紋──。彼の正体は現将軍・徳川吉宗の四男・宗尹であり、兄はのちの九代将軍・家重、次兄は田安家の祖・宗武であった。 自らは一橋門内にれっきとした屋敷をもつ若殿であったが、城内にいては何が庶民の幸福かわからない。よって松平小五郎を名乗り、頻繁に城外に出たのだ。彼らと同じものを食べ、同じ場所に暮らすことこそ政……。父上とも兄上とも違う、己のやり方での世直しを誓ったのである。のちに一橋家の初代当主となる貴人
世直し若さま 松平小五郎 葵の演舞 (コスミック時代文庫)
✍ Scribed by 天沢彰
- Book ID
- 110776942
- Publisher
- コスミック出版
- Year
- 2016
- Tongue
- Japanese
- Weight
- 74 KB
- Category
- Fiction
- ASIN
- B07BRR6NNF
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✦ Synopsis
江戸は小石川の養生所で、縁台に腰掛けて町人の子供相手に将棋を打つ只の遊び人……。だがこの男、実は現将軍・徳川吉宗の四男で、次将軍・家重の弟、そしてのちに一橋家の祖となる高貴人・徳川宗尹、その人であった。宗尹は、父や兄とは違う世直しを求め、松平小五郎を名乗り、城を抜け出していたのである。庶民と話し、その幸せや不満を身体で感じ、庶民を苦しめる悪を根絶するために、町に出ているのであった。そんな折、将棋相手の扇之介に魔の手が忍び寄る。奸計をめぐらすある藩の家老が刺客を放ってきたのだ。どうやらその出生に秘密があるようだが、小五郎は無事、扇之介を救出することができるのか!?何人も怖れおののく羽織の葵の御紋が、今日も江戸の町で乱舞する!
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